歯周病治療

歯の病気として、身近なものに虫歯と歯周病があります。
虫歯は歯自体が破壊される病気ですが、歯周病は歯を支えている組織(歯周組織)の病気です。 自分では気づかない軽度の歯周病も含めると、30歳以上の80%以上が歯周病と言われており、歯を失う主な原因は歯周病と言われています。

歯周病治療を
「見える化」する拡大鏡
マイクロスコープ

当院では歯周病治療の際に、基本的に拡大鏡やマイクロスコープを使用します。

精密な治療を行うには拡大された視野が必須です

歯周病の原因は「歯垢・歯石・バイオフィルム」ですから、これをしっかり除去できれば症状は改善されます。
歯石などは、目に見える部分が多いので肉眼でも除去することができますが、場合によっては歯なのか歯石なのか判断がつかないこともあります。
つまり、肉眼ですべての「歯垢・歯石・バイオフィルム」を除去することには限界があるのです。
その限界を超えるために拡大鏡やマイクロスコープを使うことで、肉眼では捉えられないレベルの汚れを確認し、除去することができるのです。
歯周病の治療には、さまざまな技術や装置、薬剤が開発されていますが、原因がしっかりと除去できなければ、根本的な改善には至りません。

歯周病治療を「見える化」する拡大鏡マイクロスコープ

歯周病の原因

歯周組織は、歯茎、歯槽骨(歯を支える骨組織)、歯根、歯根と歯槽骨をつなぐ歯根膜などからできており、
歯はしっかりとくっついて正しい位置に保持されています。
しかし、歯と歯ぐきの間に細菌が住み着くと、プラーク(歯垢)がたまり、炎症が起こります。
これが歯周病の始まりです。

歯周病と症状の進行

精密な治療を行うには拡大された視野が必須です

最初は自覚症状がなく、鏡を見てもほぼ気づきません。
しかし歯周病が進行していくと歯ぐきが赤くなったり、腫れたりすることがあります。
プラークが石灰化して歯石になると、プラークを除去することが難しくなり、歯周病が悪化し、付着した歯と歯ぐきが付着している部分との間に隙間ができます(歯周ポケット)。
歯ぐきの中で炎症が進むと、期間や歯槽骨が破壊され、歯を固定する力が弱くなります。
このような状態を放置しておくと、やがて歯を失うことになります。

歯周病と症状の進行

超音波スケーラーによる
歯石除去

精密な治療を行うには拡大された視野が必須です

当院は超音波スケーラーを全ユニットに完備しています。
超音波スケーラーは、歯石を超音波を使った細かい振動で剥がし、砕くことで歯石を除去します。
超音波スケーラーは歯石が多く付着している場合、除去しやすくなり、短時間で治療ができます。
刃先を動かす必要がないため、歯周ポケットの深い歯石の除去も可能で患者さんへの負担が少ないです。
また超音波スケーラーを使用したからといって、費用が変わることはありません。
ただし、歯石除去の保険診療か保険外診療かによって費用負担は変わってきます。
この場合、歯石除去ではなく「歯のクリーニング」とみなされます。

超音波スケーラーによる歯石除去

保険適用のクリーニング
「歯周病治療のクリーニング」の前提条件となります。
初診料、レントゲン撮影料、検査料などを含めて算出され、3割負担の場合、約3,000円程度となります。
歯周病治療のためのクリーニングですから、歯周病を悪化させる歯石の除去がメインになります。
歯石の量が多い場合は、数回の治療を行うこともあります。定期検診を受けている方は、通常1回の治療で終了しています。

保険適用外のクリーニング
検診が不要なため、クリーニング代としてのみ使用されます。
相場としては、5,000円~20,000円程度とお考えください。
歯科医院ごとに提供する治療内容を自由に設定でき、患者さんの状態や希望によって治療内容を柔軟に変えることができます。
虫歯や歯周病の予防のために来院する人もいれば、タバコやコーヒーによる着色を落とす目的で通う人もいます。
セルフケアでは落とせない汚れも、専用の器具を使うことで美しく落とすことができます。
超音波スケーラーと同様に、振動で歯石を除去する「エアスケーラー」と呼ばれる器具もあります。
超音波スケーラーよりも周波数が弱いので、知覚過敏の方にも適しています。
また、ペースメーカーを装着している方にも安心してお使いいただける機器です。
ただし、超音波スケーラーの方がパワーがあり、歯石を除去する能力は高いです。

痛みが少なく、完治が早い半導体レーザー治療

当院では半導体レーザーという最新のレーザー機器を導入しています。
この半導体レーザーは、歯茎や舌、頬粘膜などの軟組織に使用でき、メスと同じように使用できるのに、出血しません。
治療中に出血しないので、痛みが少なく、患者さんの負担が少ないことが大きなメリットです。
また、切開部分を縫う必要がなく、傷の治りが早いのも特徴です。
当院では、歯周病治療はもちろん、インプラント治療や抜歯など外科的な治療が必要な場面で積極的に使用し、患者さんの負担を軽減しています。

そもそも歯科治療で使うレーザーとは
レーザーは光の一種ですが、その光は電灯や蛍光灯とは異なります。
強いエネルギーを持つ単一の波長(周波数)からなる光で、レーザーの周波数によって違いがあります。
例えば、レーザーディスクは音を出し、スーパーのレジではバーコードを読み込み、レーザープリンターでは印刷し、宇宙と交信もしています。
医療分野では、脳外科、網膜剥離手術、眼科治療、耳鼻咽喉科治療、最近では多くの止血治療にも使われています。 形成外科では皮膚科をはじめ、消化器、泌尿器、内科、産婦人科、鍼灸など、さまざまな分野で活躍しています。

歯周病の主な治療方法

比較的軽度の歯周病の場合

歯や歯を清潔に保ち続けることで治ります。

炎症が歯ぐきの奥にまである場合

歯周組織の破壊が激しい場合は、歯周組織を回復させるための手術(歯周外科手術)が必要になる場合もあります。
手術の際には、歯周組織再生材などの外科的治療を補助するための歯科材料が使用されることもあります。
当院では、歯科用CTで診断した上で、リグロスやエムドゲインという歯周病治療法を提供しています。

リグロスを用いた歯周組織再生療法
細胞を増やす成長因子を成分とする「リグロス」は、この成長因子の働きによって、歯周病で破壊された歯周組織の再生を促進する治療法です。
プラークや歯石などを除去した後にリグロスを塗布し、歯を支える歯周組織の再生させます。
ちなみにリグロスの成分は、火傷などの治療にも使用されています。
エムドゲインを用いた歯周組織再生療法
エムドゲインは、スウェーデンのビオラ社が開発した歯周組織再生材です。
歯周外科手術の際にエムドゲインを塗布することで、歯周組織の再生を促し、失われた骨を回復させる治療法です。
エムドゲインで治療した歯周組織は、歯肉が正常化し、歯周病で長く見える歯の審美性を回復させることもできます。
※保険診療外の治療になります。
歯周組織再生療法
フラップ手術
フラップ手術は、歯周基本治療で除去できない深い歯周ポケットのプラークや歯石を除去するために行う歯周外科治療のひとつです。
歯肉に局所麻酔をした後、歯肉を切開して歯垢や歯石を除去します。 フラップ手術の際にリグロスやエムドゲインを用いることで、失われた歯周組織を再生することができます。

歯周病の進行の仕方

歯肉炎は歯茎を赤く腫れ上がらせ、出血を引き起こします。そのまま放置すると状態が悪化し、歯周炎に進行します。
歯周病は、主に歯と歯茎の間の汚れが残ったままになってしまう不適切な歯磨き、デンタルフロスの不足によって引き起こされます。
ほとんどの歯周病は、口内の細菌の塊である歯石によって引き起こされるといっても過言ではありません。

歯周病のレベル

歯肉炎:歯周病の始まり

歯周病の進行は、通常、歯肉炎から始まります。
歯肉炎は歯周病の最も初期の段階で、歯肉(歯ぐき)が腫れたり、磨いた際に出血することが特徴です。
原因は主にプラーク(歯垢)の蓄積で、適切な歯磨きやデンタルフロスが行われない場合に発生します。
この段階では、適3なホームケアで改善が見込めます。

歯肉炎:歯周病の始まり
歯肉炎の原因
不十分な口腔衛生 不適切なブラッシングやフロスの使用不足。
喫煙 喫煙は歯肉の健康に悪影響。
栄養不足 特にビタミンCの不足。
糖尿病や他の全身疾患 これらの病気は歯肉の健康に影響を与える。
治療方法
適切な口腔衛生の実践 ブラッシング
1日2回、2分間、フッ素入り歯磨き粉を使用して丁寧にブラッシング。
フロスの使用
1日1回、歯間のプラーク除去のためにフロスを使用。
定期的な歯科検診 専門的なクリーニング
歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルなクリーニングで、歯石やプラークを除去。
ライフスタイルの改善 禁煙、バランスの取れた食事、十分な水分摂取。
口腔衛生製品の使用 歯肉炎に効果的な口腔衛生製品(抗菌成分を含む歯磨き粉やマウスウォッシュなど)の使用。
早期発見と治療の重要性
歯肉炎は初期段階の歯周病であり、適切な治療と口腔衛生の維持により、完治が可能です。
早期発見と治療が、より深刻な歯周病への進行を防ぎます。
定期的な歯科検診は、歯肉炎の早期発見と適切な治療計画の立案に不可欠です。

軽度歯周炎:歯周ポケットの形成

歯肉炎が治療されないと、炎症は歯肉の深部にある歯周組織に広がり、歯周ポケットが形成される軽度歯周炎になります。
これは歯と歯肉の間に深い溝ができることを意味し、ここにさらにプラークや歯石が蓄積されます。
この段階では、歯3医による専門的なクリーニングが必要になります。
これらの蓄積物はさらに細菌の増殖を促し、歯肉のさらなる退縮、骨の破壊、そして最終的には歯の喪失につながる可能性があります。

軽度歯周炎:歯周ポケットの形成
軽度歯周炎の原因
  • 進行したプラークの蓄積。
  • 歯石の形成。
  • 不十分な口腔衛生。
  • 全身疾患やライフスタイルの影響。
治療方法
専門的なクリーニング スケーリングとルートプレーニング
歯科医師や歯科衛生士が専門的な器具を使用して、歯石とプラークを除去し、歯の根面を滑らかにします。
口腔衛生の強化 ブラッシングとフロスの徹底
毎日のブラッシングとフロスを正しく行い、プラークの蓄積を防ぎます。
抗菌療法 抗菌マウスウォッシュ
細菌の成長を抑制し、歯周病の進行を遅らせるために使用されます。
定期的なフォローアップ 定期的な歯科検診
歯周病の進行を監視し、必要に応じて治療を調整します。
外科的治療の検討 歯周外科手術
深い歯周ポケットが存在し、非外科的治療だけでは改善が見られない場合に考慮されます。
早期治療の重要性
歯周ポケットの形成は、歯周病が進行している証拠です。
この段階での早期治療は、さらなる歯肉の退縮や骨の破壊を防ぐために重要です。定期的な歯科検診と適切な口腔衛生習慣は、歯周病の進行を遅らせ、最終的には歯の喪失を防ぐために不可欠です。

中度歯周病:歯槽骨の破壊

炎症が進むと、歯を支える骨、すなわち歯槽骨が徐々に破壊されます。
これにより歯が緩んだり、最終的には失われる可能性があります。
この段階では、歯周病の進行を遅らせるために、さらに積極的な治療が必要です。

中度歯周病:歯槽骨の破壊
歯槽骨破壊の原因
  • 長期間のプラークと歯石の蓄積。
  • 炎症による歯槽骨の破壊。
  • 遺伝的要因や全身疾患の影響。
治療方法
専門的な歯周治療 歯周外科手術
重度の歯周病に対して、歯周ポケットの深さを減少させ、清掃しやすくするために行われます。
骨再生療法 骨移植や組織再生促進材料の使用
失われた歯槽骨を再生するために、自己骨や人工骨、生体材料を使用することがあります。
レーザー治療 レーザーによる歯周治療
炎症を減少させ、歯周病の進行を遅らせるために使用されることがあります。
抗菌療法の強化 局所的な抗生物質の使用
歯周ポケット内の細菌を減少させるために使用されます。
維持療法 定期的なメンテナンス
治療後の状態を維持し、再発を防ぐために重要です。
治療の重要性
歯槽骨の破壊は、歯周病の進行において重大な段階です。
この段階での治療は、歯の喪失を防ぎ、口腔の健康を維持するために不可欠です。
治療は、歯科医師の指導のもと、綿密な計画と継続的なケアが必要です。
適切な治療により、歯槽骨のさらなる破壊を防ぎ、口腔機能の維持が可能になります。

重度の歯周病:歯を残せるかどうか

この段階では、歯の抜歯や歯周病による他の合併症のリスクが高まります。
咬合力の低下や咀嚼機能の障害が生じます。
また、痛みや出血、悪臭を伴うこともあります。

重度の歯周病:歯を残せるかどうか
症状の進行
  • 歯肉の重度の退縮。
  • 深い歯周ポケットの形成。
  • 歯槽骨の大幅な破壊。
  • 歯の揺れや脱落。
治療方法
歯周外科手術 歯周ポケットの深さを減少させ、清掃しやすくするために行われます。歯肉の再配置や再生療法が含まれることがあります。
骨再生療法 失われた歯槽骨を再生するために、自己骨移植や人工骨、生体材料を使用します。
レーザー治療 炎症を減少させ、歯周病の進行を遅らせるために使用されることがあります。
抗菌療法 局所的な抗生物質の使用で、歯周ポケット内の細菌を減少させます。
歯の抜歯と補綴治療 保存不可能な歯は抜歯し、インプラントやブリッジ、部分入れ歯で補綴します。
治療の重要性
重度の歯周病は、口腔全体の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
適切な治療と継続的なケアにより、歯の喪失を防ぎ、口腔機能の維持が可能になります。
また、全身健康への影響も考慮し、必要に応じて他の医療専門家との連携も重要です。
適切な治療により、重度の歯周病の進行を抑制し、患者の生活の質を向上させることができます。

歯周病の進行と治療法

歯周病の進行過程

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歯周病は、長期間にわたり徐々に進行する病気です。
初期段階である歯肉炎から始まり、重度の歯周炎に至るまで、症状は段階的に悪化します。

健康な状態 歯と歯ぐきの間は1〜2mmの健康的なすき間があります。
歯肉炎 プラーク蓄積により歯ぐきに炎症が生じ、歯と歯茎のすき間(歯周ポケットと言います)が2〜3mmに拡大します。
軽度の歯周炎 炎症が進行し、歯周組織への侵入が始まります。
中度の歯周炎 歯槽骨の破壊が進行し、歯がグラつき始めます。
重度の歯周炎 歯槽骨の大幅な破壊と、歯の機能低下が起きている状態です。

主な治療法

スケーリング・ルートプレーニング

スケーリングとルートプレーニングは歯周病治療の基本的な手法です。
スケーリングでは歯石とプラークを歯の表面から除去します。
ルートプレーニングは歯の根の表面を滑らかにし、歯周病を引き起こす細菌の除去を目的とします。
これにより、歯周病の進行を抑制し、歯肉の健康を改善します。

スケーリング

歯ブラシで取れない歯と歯ぐきの間にある歯垢や歯石の除去

スケーリング
ルートプレーニング

スケーリングでは届かない歯ぐきの奥に付着した歯石や歯垢の除去

ルートプレーニング
適用段階 予防、歯肉炎から中度歯周炎まで。
目的 歯石とプラークの除去。
方法 特殊な器具を使用し、歯と歯ぐきの間や歯の根の表面の清掃。

再生療法

歯周病の再生療法は、進行した歯周病によって失われた歯槽骨や歯肉組織を再生させる治療です。
この方法では、特別な材料や手術技術を使用して、失われた骨や組織の再成長を促進し、歯を安定させることを目的としています。
歯の健康と機能が改善され、抜歯を防ぐことができます。

適用段階 重度の歯周炎。
目的 破壊された歯槽骨の再生。
方法 特殊な材料や手術技術を使用し、失われた組織の再生を目指す。

レーザー治療

レーザー治療は、歯科で用いられる先進技術の一つです。
高精度のレーザー光を利用して、歯肉の炎症を減少させたり、感染部位を滅菌したりすることができます。
レーザー治療は従来の手法よりも痛みが少なく、治癒が早いのが特徴で、特に歯周病治療や口内炎の治療にも効果的です。

適用段階 歯肉炎から重度歯周炎まで。
目的 歯周ポケットの深部の清掃、炎症の軽減、組織の再生促進。
方法 レーザーで歯周ポケットの深部にある細菌を効果的に除去し、歯槽骨の再生を促す。

総合的なアプローチ

精密な治療を行うには拡大された視野が必須です

当院では、歯周病の各段階に応じて最適な治療法を提供します。
初期段階ではスケーリング・ルートプレーニングによる予防的アプローチを重視し、病状が進行した場合は再生療法やレーザー治療を通じて積極的に治療を行います。
また、患者様一人ひとりの口腔状況に合わせたカスタマイズされた治療計画を立て、歯と全身の健康を総合的にサポートします。

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