山口県宇部市の歯科医院「歯科・沖田オフィス」院長の沖田です。
目次
今回は前歯のセラミックによるブリッジ治療について
ブリッジとは
以前にもこちらで書きましたが、歯を失ってしまった場合や元々歯が無い方などの歯がないスペースを隣の歯と歯をつないで橋をかけるようにして補う治療方法です。
前歯の難しいところは、他人から目える位置に人工的な歯を入れることです(・_・;
いかにも作り物という歯では困るので
色や形が周りの歯と調和しているのか
顔や唇とのバランスがおかしくないか(歯が短か過ぎたり、長過ぎたり、曲がってないか)
それ以外にも、歯茎などとの調和も必要になります。
歯が歯茎が下がったり、痩せてしまっている部位にブリッジをした場合
歯茎の中から人工歯が浮いたような感じになって自然な感じがしなかったり
痩せた歯茎と人工の歯との間に汚れが残りやすく普通の磨き方では清掃しにくくなってしまったり
色々と問題が出てしまいます(~_~;)
保険診療での前歯ブリッジ治療の場合
ただし、保険治療は咬めるようにするだけの機能面を重視しており、見ためのことまで考慮されません。
ブリッジには金属を使うため、金属の色を隠す必要があります。
金属の表面に歯の色を再現するためのレジンという白い材料を使いますが、透明感を出すと金属が透けて見えるので透明感のある色が出せず自然な歯の色にはなりません。
また、歯茎が痩せて見た目が悪かったり、清掃しにくくても歯茎を増やすための治療なども保険診療にはないため、どうしても歯茎を補う必要があれば入れ歯などで対応するしかないこともあります。
保険外治療での前歯治療
当院で行ったジルコニアブリッジの例
初診時
若い女性の方で、他の歯科医院を受診されていた方ですが
上の前歯6本全て、自費でダイレクトボンディングをされたようですが
色が変色してしまっているのと
前歯の1本が骨の中で折れたようになって穴が空いており抜歯が必要になっていました。
インプラントも含めて考えたいとのことでしたが、かかりつけ歯科では無理だとのことで知り合いを通じて当院を紹介受診されました。
インプラントも検討しましたが、上の前歯全体を綺麗にやりかえたいとの希望と
予算のこともあって相談の上でセラミックでのブリッジとクラウン治療を考えることになりました。
抜歯が必要な歯の歯茎が隣の歯に比べてすでに下がっていることと
すでに歯の根が割れて感染しているので骨が減ってしまっていることから
何も考えずに抜歯するとさらに歯茎が下がってしまう可能性が高く
審美的な結果を求める場合は難易度は高いです。。。
歯茎が下がらないようにするために、骨を減らさないようにしながら
別の部位から歯肉を切って移植して歯茎の厚みや高さを増す方法が一般的なのですが
手術が2箇所以上となり、痛みが出たり出血の多い部位を切ることになったりするので
少し大変だったり、その分費用もかかってしまいます。
その話を皆さんにすると躊躇されることが多いのですが…(・_・;
今回は年齢的にもお若いので、将来的にインプラントをしたいと思った時のことを考えて骨をできるだけ維持する手術と
大きく歯茎を切らずに少しでも歯茎を減らさないようにするための手術
それらを抜歯をする際に同時に、しかも歯肉の移植はせずにオペの部位は1箇所だけで全てを済ませるためのオペを計画しましたd( ̄  ̄)
材料は人工骨と再生療法に使う薬剤などを用いておりますが
結果は…
治療後
歯を一本抜いているにも関わらず、術前より綺麗になって喜んで頂けました( ´ ▽ ` )
他の歯も前医でされたダイレクトボンディングを外すと、虫歯などもあって
可能ならラミネートベニアという、つけ爪のように表面にセラミックを貼る治療と考えていましたが
すでに削ってある範囲が大きいこと、虫歯も残っていたことからベニア治療は無理と判断し
ブリッジ以外の歯もジルコニアクラウンという被せ物を作製して付けました。
ほぼ左右対称な歯茎の位置で被せ物を入れることができています( ^ω^ )
色も若い女性でできるだけ白い歯を希望されたので、技工士さんと何度もやり取りをして
白いけど、できるだけ自然な歯にという難しい注文を頑張って頂きました( ´ ▽ ` )
プロの厳しい目で見れば完璧とは言えず、まだまだできたことがあったかと思いますが
費用とオペの侵襲を抑えつつ、できるだけ短期で良い結果を出すという
複雑なことを考えながらの処置だったので、そこそこの結果は得られたかと思います。
自然な歯であれば多少変でも神様が作ったもので仕方ないと考えるのですが、人工的な歯はどうしても様々なところが目につくのが歯医者あるあるの職業病です(笑)
患者さんが希望されたことを、完璧ではなくともある程度達成できたことが嬉しい限りです。
当院では、このように患者さんの希望と当院でできる治療を考えて
ご予算や治療方法の希望などをすり合わせて、できるだけ良い結果を出せるように努力しています。
今後は、この状態をできるだけ保てるように
患者さんと一緒に予防歯科とメインテナンスでしっかりケアしていく必要があります。
今回の治療内容
前医の治療された修復物を除去して仮歯の装着
保存不可能な歯の抜歯、歯槽骨温存術、歯肉再生療法
前医で取られていた神経のない歯の再根管治療
根管治療後にファイバーコアの築造
仮歯で歯茎の形を整えていき、最終的な歯の形を整えて、型取り
ジルコニアブリッジと、ジルコニアクラウンの装着
メインテナンス、他の歯の治療へ移行
治療費について
※保険外治療の被せ物は、歯の神経がない場合は土台から保険外治療となります。
こちらはだいぶ前の治療になり、当時と現在の当院の価格が違っております。
現在の価格に直した治療費ですが
今回の前歯6本の治療内容と保険外治療費分として
抜歯した部位の骨補填材等の費用:¥44,000(税込)
仮歯(調整代含む):¥3,300×6歯
神経のない歯が1本あったので、土台(前歯ファイバーコア)¥16,500(税込)×1歯
ジルコニアブリッジ、ジルコニアクラウン121,000×6歯(税込)
2023年10月時点での今回の治療を行った際の保険外治療費の合計 ¥806,300(税込)
今回の治療の副作用やリスクについて
外科処置に関しては通常の痛みや腫れ、出血のリスク
骨補填材部位に関しては術後感染のリスク
仮歯に関しては破折や脱離の可能性
ジルコニアブリッジ、ジルコニアクラウンについては稀に割れたり、脱離の可能性
自分の歯に関しては、歯根破折の可能性と歯茎の退縮の可能性
などが考えられます。
当院の保証制度
当院では保険外治療でのインプラントや被せ物には医院独自の保証制度を設けております。
インプラントの本体は最大10年、被せ物は最大5年
被せ物が割れたなど再治療が必要になった場合、年数に応じて、患者さん負担なし〜治療費の3分の2までの負担で再治療を行います。
(保険診療分は割引などは禁止のため別となります。)
条件としたら
・当院が考える治療と患者さんの治療希望が大きく外れていない場合
例)噛み合わせの問題で強く当たっている歯が欠けた際、噛み合わせを変えずにただ強く当たっている歯の被せ物のみ治療希望
例)抜歯が必要な歯で、患者さんの希望で保存した場合
・不注意、事故や通常の食事などでかかる負担を超えた力がかかった場合
例)交通事故、ビンの蓋を歯で開ける、石を噛んだなど
・治療後、当院が指示する定期的なメインテナンスに通っている
・歯軋りや食いしばりがあり、マウスピースの作成と装着が条件で保証
・治療した歯が割れて抜歯が必要になった場合は治療済の被せ物だけは保証しますが、新たなブリッジやインプラント本体に関わる費用は通常通りかかります。
などがありますが。
とりあえず、簡単にまとめると
・無理のない治療計画で、治療後は定期的なメインテナンスに通院頂く。
・事故や不注意で普通のお食事以外での不具合は保証外(事故の保険があれば使ってください)
・治療した被せ物までは保証しますが、それ以上の治療に関しては保証できない
となります。
治療内容や、お口の状態によって治療も保証も変わりますので
詳しいことは治療の際にお気軽にご相談ください。
当院では虫歯や歯周病治療はもちろん、インプラント治療、ホワイトニング、セラミックやジルコニアを使った審美歯科、ボツリヌストキシン注射を含む噛み合わせのコントロールなどなど
様々な治療に対応しております。
もしお口のことで気になることなどがあればお気軽にご相談ください!!