お知らせ

お知らせ審美歯科治療院長

前歯の仮歯

山口県宇部市の歯科医院『歯科・沖田オフィス』院長の沖田です。

今回は治療途中や被せ物を作るために歯を削って形を整えた後に使う仮歯について書いていきたいと思います。

皆さんのイメージでは仮歯ってどんなイメージでしょうか?

仮の歯だし、大して重要ではないだろうってイメージだったり

外れたり壊れたりすることこともあるので、あまり良いイメージがない方もおられるかもしれません(~_~;)

仮歯の種類

仮歯は同じようなものでも、歯医者さん的に使い方があったり

素材にも違いがあったりします。

まずは用途での使い分けについて

用途の違い

TEC(テック)

こちらは保険治療での呼び名でもありますが、この中ではテックと呼びます。

ちなみに、前歯にのみ保険診療でもテックという仮歯の項目があります💡

項目があるといっても評価が低く、オーダーメイドで時間もかけて作るのに保険診療では数百円。。。

そんな価格では材料、スタッフの人件費を考えたら大赤字です😰

(以前はペットボトル2本くらいは買えましたが、物価高の今は2本も買えなくなっています(>_<))

費用をかけれない分、実際の保険診療では色々と難しい面が多く

あくまで見た目や歯の保護を目的としたもので、とりあえず付ける一時的な仮歯といったイメージです。

そのため、最終的に作る歯と形態などが変わってしまうことがあります😅

ただ、ここは医院さんによっては赤字でもこだわって作製したり歯科技工士さんにお願いされるところもあります。

材料は主にレジンというプラスチックのような樹脂になり、粉と液を混ぜて固めて行きます。

その際に空気が入ったり、固まる過程で変形したりで汚れやすく少し脆い状態のことがあります。

プロビジョナルレストレーション(プロビと略したりすることもあります)

この中ではこの後「プロビ」と略して書かせて頂きますが

最終的な被せ物の形態をイメージして作成されたもので、よりこだわって作成されます。

材質は主に上記と同じレジンという材料ですが、熱や圧力を加えて作製することによって、よりしっかり固めて空気の混入を防いだり変形が出ないようにしていることが多いです。

また、CADCAM技術による固いブロックからの削り出しや3Dプリンターで作製するようなものもあります。

最終的な被せ物の歯をイメージしたプロビを作り、そこから患者さんの希望があれば見た目の変更のために形態、歯の長さを調整したり、レジンの厚みを調整して歯茎の状態を整えたりして行きます。

目的は最終的な被せ物を作って装着しようとした際に、歯が長いとか、もっと膨らませたいとか細い歯にしたかったなど、イメージと違ってしまうと最終的なものを作った後の調整はかなり大変になってしまうためです。

また、プロビと削った歯を調整してピッタリ合わせることによって汚れが付きにくくなり歯茎の炎症が取れてきます。

歯茎の炎症がなくなると歯茎からの出血がなくなってくるので、型取りも楽になり精度の良い被せ物が作りやすくなります。

なので、良い治療をする際にはプロビの重要性は非常に高いです( ^ω^ )

材質の違い

仮歯を作る材質にもいくつかあります。

レジン

一般的に一番使う材料で、粉と液を混ぜて化学的に固めていくものが多いです。粉と液を混ぜるため、空気が入ったり(気泡)強度が弱かったりするので。歯科技工士さんにお願いすると、いわゆる圧力釜のようなもので加圧しながら固めることにより強度を増して作ることがあります。

手間がかかるため、仮歯でも費用が少しかかってしまいます^^;

PMMA

アクリル樹脂性

粉と液を混ぜて固めるのではなく、初めから硬く固めたブロックを削り出して仮歯を作ります。

実際のテックとプロビ

実際に全体的な治療をさせて頂いた患者さんでテックとプロビの違いについて前歯を例に書いていきます。

初診時の前歯

上の前歯は前医ですべて神経が取ってあり、根管治療がされて被せ物が入っていました。

左の奥歯がなく噛み合わせもやや低いため全体的な治療が必要なのと、前歯の審美性が気になるとのことで計画を立てて治療を開始しました。

今回は前歯の仮歯だけにフォーカスしていきます。

テック装着中

こちらはとりあえず最初に入っていた前歯の被せ物を外し、テックを作って装着しています。

根管治療中に何度も取り外しが必要なことと、まだ治療途中で噛み合わせを変えないようにするためで

とりあえずテックを装着し、必要な治療を行なっていきました。

プロビ装着直後

こちらはプロビ装着後になります。

根管治療が終わり、噛み合わせを変える治療でもあったので一気に全ての歯にプロビを装着しています。

見た目が大きく変わって同じ方には見えにくいですが、上の写真の方の同じ口の中です😅

プロビ調整

元々の前歯が短かすぎて笑っても前歯が見えないとのことで、前歯を少し長めにしています🦷✨

プロビを調整した前後比較、左:調整前、右:調整後

ここから噛み合わせや、顔から考えた前歯の長さや位置、患者さんの歯の形の希望、歯茎の高さなどについてプロビを調整しました。

歯茎と接する部分を削って薄くしたり、レジンを盛って厚くしたり、限界はありますが歯茎の高さをプロビを調整することによって整えたところです。

(白い横の白線が歯茎の位置で、わかりにくいですが左右の写真で微妙に変わっています)

歯科医師側で、一番前の前歯(中切歯)の歯茎がやや上、二番目の前歯(側切歯)の歯茎がやや下、三番目の前歯(犬歯)の歯茎が中切歯と同じくらいというのが審美的と言われており、矯正治療を併用しないと限界はありますが、可能な範囲で歯茎の位置を調整しています。

前歯の先端に黒マジックを塗り、前歯を短くしたイメージを確認中

少し歯が長い感じもしたので、黒マジックで先端を塗って短くなった場合の歯をイメージしてもらっています。

この長さで良さそうなら、黒マジックのところを削って前歯を少し短くしていきます。

このように仮歯を調整して、見た目や噛み合わせを修正し試行錯誤していき、良ければ最終的な被せ物にしていきます。

最終的な仮歯の調整を終えたところ

プロビを調整しながらしばらく食事などに使用して頂いて、問題がないことを確認して最終的な歯を作っていきます。

プロビから最終的な被せ物へ

最終的な被せ物が入ったところ(オールセラミッククラウン)

こちらが最終的な被せ物が入ったところです。

歯の長さなどはプロビを参考に、形態は歯科技工士さんが最終的に少しアレンジをしています。

プロビを調整するのが歯科医師なので、患者さんの横で調整するので調整には限界があるのと、プロビは材質的に柔らかく壊れやすいレジンという材料を使うので、歯科技工士さんが作製される最終的なセラミックなどの被せ物とは少し形態が違うことがあります。

例えば、レジンで薄く作ると壊れやすいため少し厚みを出す必要があったりしますが、最終的な被せ物のセラミックやジルコニアは白くて丈夫な材料なので薄く作ったりも可能になります。

(もしプロビと最終的な被せ物が全くものにしたいとなると、本物と同じ形のプロビを作製してお口の中に装着し、全く調整がなければ同じものが作れるかもしれませんが。調整したり食べ物や歯軋りなどで削れるとそれを全く同じに再現は現実的にはほぼ不可能です。。。デジタル機器での作製なら理論上は可能ですが、そこも理論と現実は少し違ってくることがあります(・_・;)ただ、大きな違いは無くなるので患者さんが満足して頂けるように出来るだけプロビ調整した形で最後の被せ物を作るように意識するのは非常に大切なことです)

まとめ

今回は仮歯というかなりマニアックな話ですが😅

仮歯にもこのように種類や目的、材料の違いなどがあったりします。

とりあえずの仮歯であるTEC(テック)、明確な目的をもった仮歯のプロビジョナルレストレーション(プロビ)で大きく違います。

それは歯科医師側の意識や調整だけでなく、歯科技工士さんの意識や作り方も非常に重要になってきます。

テックはとりあえず一時的に使うものなので、そこまでこだわって作ることもないので費用も出来るだけ抑えたいと考えていますが。

プロビは最終的な被せ物を意識した仮歯にするのと、そこから軟度も調整をしていくこともあるのでテックよりは費用がかかったり、複数回作り直す必要が出ることもあります。

ただ、しっかり治療をしたい方、噛み合わせを大きく変更する必要がある方、被せ物のやりかえが多い方、見た目や審美的な治療で歯の形にこだわる方、などなど、プロビが必要な方には、なぜこんなことをするの??って知って頂けたら幸いですし

歯科医師側もたかが仮歯と言えど、これだけ色々考えたり手間をかけていることを知って頂けると嬉しいです。

保険診療ではここまですることは無理ですが

見た目が気になる(審美的歯科や美容歯科)方

しっかり治療をされたいと思われる方

噛み合わせに悩んでいる方

全体的な治療が必要な方

当院でよければお気軽にご相談ください!

ア電話ご予約