山口県宇部市の歯科医院「歯科・沖田オフィス」院長の沖田です🦷✨
今回は当院での前歯のジルコニアブリッジの治療例について書いていきます。
こちらは当院のインスタの方にも掲載しておりますが。
その詳細について書いていきます📝
目次
主訴:前歯が自然に抜けてしまった
以前より当院に通院しておられる、60代の男性の方ですが
初診時より歯周病で骨が減っており、前歯が数本動いておられました💧

治療の流れと経過
初期治療
まずは通常の歯周病に対する基本治療や虫歯治療を行い、その治療で歯茎がどう変わっていくか、動きが止まってくるか、などの治療に対する体の反応についてみていきます。
少し動きは収まりましたが歯周ポケットは深いままだったので、さらに積極的な治療をするかを考えて患者さんと相談します。
歯周外科?保存的なメンテナンス?
深い歯周ポケットを改善させるために外科的な治療を行うことがありますが
骨がない部位を外科的に切ると歯茎が下がって歯が少し長くなってしまったり
全身的なご病気や飲まれている薬などで外科的な治療について制限が出てしまうことがあります。
今回の患者さんは、お身体やお薬のこと、外科的な治療は怖いのでしたくないと言われてしまい。。。
歯肉の状態も落ち着いているのもあって、保存的な歯周病の治療で経過を見ることになりました。
当院での歯周病継続支援治療(SPT)
歯科衛生士さんを中心に、定期的な歯周病治療を継続していきました。
数ヶ月に一度は歯周病の検査(歯と歯茎の境目の歯周ポケットを測る、チクチクするやつです😅)をしつつ
主に歯茎の上と下の歯石除去や、歯の表面のクリーニングで歯垢を除去します。
それによって、細菌を減らしたり、細菌が増えやすい場所をなくして歯茎の炎症を防いで歯周病をコントロールしたり
歯の表面をクリーニングすることによって、ツルツルにして汚れをつきにくくしたり虫歯の予防にもなります。
当院では、歯肉の血行を良くする意味もあってジェルをつけて歯茎マッサージもしております(歯茎マッサージが苦手な方にはしておりませんので、苦手な方は無理せずスタッフに相談してください😅)
また、歯周病は基本的には治癒することはなく、出来るだけ良い状態をキープできるようにしたり、少し悪くなっても早めに炎症を抑えたりできるように定期的なお口の中の清掃が治療になります。
(お医者さんでの高血圧や糖尿病などは生活習慣病とも言われ、なかなか完治せず薬で症状を抑えることが多いですが。歯周病も生活習慣病の1つと言われ、薬の代わりに歯垢や歯石を除去して症状を抑えていきます💡)
数年後に歯が自然に抜けたと来院。。。
真面目に定期的に受診されていて、なんとか落ち着いていましたが
徐々に前歯の動きが強くなってしまい
約3年くらいで歯が抜けてしまいました💦
治療計画、相談
抜けた歯の治療方法は以前のブログ等にも書いていますが
ブリッジ治療、義歯治療(入れ歯)、インプラント治療の3つです。
相談すると、取り外しをする入れ歯は避けたいとのことで、インプラント治療とブリッジ治療について相談していきました。
インプラント治療も考えておられましたが、治療期間の長さ、両隣の歯も前の歯科医院さんで神経が取られていて被せ物がされていてあまり良い歯ではなく治療をした方が良いことや
自然に歯が抜けており、骨や歯茎が多少減っているため外科的な治療で骨や歯茎を造成する必要が出る可能性などもご説明し
やはり外科治療は心配とのことで、両隣の歯も歯周病で少し動いてはいますがブリッジ治療を希望されました。
患者さんもかなり悩まれて、この相談や悩まれている期間が1ヶ月以上ありましたが、その間は隣の歯の治療をしていて仮歯を装着していたので。
審美的には問題なく過ごして頂いておりました。
両隣の歯の根管治療の開始、仮歯治療
見た目のこともあるので、まずは隣の歯の被せを外して仮歯を装着し、抜けた前歯の見た目を改善。
その後に、古い土台や虫歯を除去し隔壁を作って仮歯をより安定させるのと、細菌感染を可及的に防いでいきます。
そして、根管内に詰めてあった古いお薬を除去し、何度か洗浄や薬で殺菌をしていきます。
根管が綺麗になったら、お薬をしっかり内部に詰めていきます。
歯が少し動いているのは歯周病のせいでもあり、被せ物を外していることや隣の歯が抜けて見やすい状態だったので、局所麻酔をしてブリッジの支えに使う歯の歯茎の中のクリーニングも再度行っています。
最終的なブリッジ治療は見た目が良く、虫歯や歯周病の観点から汚れが付きにくい方が良いとのことで自由診療のジルコニアセラミックブリッジを選択されました🦷✨
ちなみに
ジルコニアの被せ物を歯の色に合わせる方法は主に3種類の作り方があります。
・元々のジルコニアブロックにつけてある色だけで何も色付けしない方法(複雑な色合わせができないため前歯には使えません❌あくまで奥歯で歯の色に拘らない場合のみ使用)
・ジルコニア表面に色を付けたり塗るだけのステイン法(複雑な色は難しいのでまとめて前歯全てやりかえる場合などに向いています)
・ジルコニアの上に陶材(セラミック)を盛り、3次元的に複雑な色を出す築盛(レイヤリング)法
この中で複雑な前歯の色を作るのは築盛法になります。
今回は左のご自分の歯に合わせた色にしたいご希望もあり、築盛法を選択しました🦷✨
コア築造、仮歯調整
白い樹脂などを用いて土台を作成し、仮歯を修正して抜けた歯の歯茎の形も整えていきます。

削った歯のようで綺麗に見えますが、最初は金属の土台や虫歯があり、それをしっかり除去して白い樹脂で失った部分を補っています。
歯と歯茎の間には圧排糸という黄色い糸を入れて、仮歯で整えるために削っています。
歯の色合わせ(シェードテイク)
隣の歯はご自分の歯(部分的に虫歯があったので、そこは樹脂で詰め直していますが)なので
歯の色を合わせて行くために、歯の色見本と一緒に何枚か写真を撮影し、歯科技工士さんに伝えていきます。

当院では歯科技工士兼プロカメラマンの方に専用のカメラセッティングをしてもらっていますが
それでも歯の色を合わせるのは至難の業になるので。
前歯は数回色合わせの調整が必要になることがあります。
今回も1回では合わせきれませんでした💧
試適、再調整

技工士さんが作ってくれたブリッジを入れて見ると
色がやや白く、あまり合っていません
歯の形も少し違う感じがしたので、歯科技工士さんに写真と一緒に修正箇所を伝えます。
ジルコニアセラミックブリッジ完成・装着

歯科技工士さんに修正して頂いたブリッジを試しにお口の中に合わせていきます。
仮歯で作った抜けた部位の歯茎の形を、模型上でさらに修正して頂いています。

色を見て頂いて患者さんも大丈夫とのことで、装着させていただきました。
歯は乾燥させると白くなったり、色が変わってしまうので写真では少し違って見えますが
実際のお口の中ではほとんどわからない状態でした😀
ジルコニアセラミック装着1週間後
装着当日は接着剤をあまり触らない方が良いので(光で固める接着剤が内部は固まりにくく、その状態で当日触りすぎると外れやすくなってしまうため)
1週間後に来院してもらい接着剤が残っていないか確認と清掃をさせて頂くために来院して頂きました。

このような状態で、向かって右側の3本ブリッジは自然な感じです🦷✨
左のご自分の歯の歯茎に近い部分の古い詰め物の変色が気になりますが、患者さんは気になっておられないのでそのままです😅(今後患者さんが気にされたら詰め直します👍)

角度を変えて撮影しましたが、抜けた歯の部分もダミーの歯は自然な立ち上がりで
歯があるように見えます。
これは口腔内で作った形が良かったのもありますが、歯科技工士さんが色と形と歯茎の押し具合を調整してくれたおかげで。
歯医者にはできない、歯科技工士さんの腕と力ですね😁
メンテナンス
これで治療が終わったわけではなく、ブリッジは自分の歯2本で3本の歯を作製する治療なので
ブリッジを支える歯には負担がかかってきます💧
歯周病もあるので、これからこの状態を維持するための治療を続けて行く必要があり
ここからは患者さんの普段の歯磨きを頑張って頂くのもちろんですが、歯科衛生士さんの腕と力も必要になってきます💪
まとめ
今回の治療のまとめです。
患者さん:60代男性
主訴:歯が動く、歯が抜けた
診断:歯周病、その後歯周病による歯の脱落、審美障害
通院目的:歯周病治療と、抜けた歯を補う治療を審美的に行いたい
治療期間:約5ヶ月(歯が抜けた後からブリッジ装着した後までの期間)
治療内容:抜けた歯の歯茎の治癒待ちの間に、仮歯装着、隣在歯の根管治療、コア築造、形成、仮歯の調整、型取り(セレックでのデジタル印象、アナログ印象)、噛み合わせの採得、ブリッジの試適、色調の調整、ジルコニアセラミックブリッジ装着、装着後の確認
ブリッジにかかった費用(自由診療分のみ):ファイバーコア16,500×2歯、ジルコニアセラミック(ジルコニア表面に陶材を築盛)ブリッジ165,000×3歯
リスク:自由診療のため費用がかかる、強い衝撃がかかると表面のセラミックやジルコニアが割れたり折れる可能性、硬いものを噛んだり歯軋りや食いしばりが強いと失活歯は歯根破折を起こす可能性、歯周病が悪化すると歯肉退縮を起こす可能性
当院では歯が抜けてもインプラントだけが治療方法ではないと考えております。
隣の歯の状態や噛み合わせなどで変わってくるとは思いますが。
隣の歯が全く治療されたこともない健全な歯であれば、できるだけ削らないようにしたいので、インプラントや受け入れてもらえるなら義歯なども選択肢になるかもしれませんし。
逆に隣の歯が神経がなくて被せ物だったり虫歯で治療が必要な場合は、どちらにしろ治療が必要ならブリッジなども選択肢に入ります。
患者さんそれぞれ、お口の中の状態によって、治療方法はいくつか考えることもあるので
まずはお口の中の状態の確認や評価をして、診断をしてからの治療方法の検討にはなりますが。
何かご不明な点などあればお気軽にご相談ください!


